昨日、私は某泌尿器科へ行きました。

思えば、私は学生時分に、とある深刻な理由で肛門科へもかかったことがある。
その際は、よぼよぼの爺さまに器具や指を用いて、デリケートな部分を執拗に責められ、私の視界がぶよぶよになって、見えているものが近くに来たり遠くへ行ったりしたのだが、今回はそれよりはましだろうと、意気揚々と山手線に乗りこんだ。

23歳という若輩にして、肛門科、泌尿器科とに通院経験を持ってしまった私は下腹部の脆さに関しては一種の才能を認めてよいのかもしれない。特にこれまでの経験から過度の飲酒をすると、下腹部に異常がきたされるようである。
今回も自宅にて、日本酒「久保田 千寿」を一人でぐいぐいと飲んで、田口と夕飯を食べに行ったピザ屋でコーラ入りハイボールを飲んだ後に、「あれ、なんだか歩いていると左の睾丸が痛いよ。くりくりされてるよ。歩きにくいよ。」などの症状が出始めた。それから、あれよあれよという間に一週間たっぷり、私は左睾丸を何かにくりくりされつづけてきた。

にぎわう山手線の中で、「私はこれから泌尿器科へ行くんだよ。ちょっとおしゃれをして泌尿器科へ行くんだよ。」と思うと、なんだか普通の人とは違う休日の過ごし方をしてる気がしてルンルンした。

土曜日の診察は朝10時からだったので、
9時45分ごろ病院に行くと、待合室は満員であった。
「すげー、泌尿器科の患者の必死度すげー。」と思った私は「初診です。」と受付の、おそらく男性の陰部を見慣れた看護婦さんに保険証を渡した。
「後で尿検査しますので、座ってお待ちください。」という看護婦さんに対して、「やばい!!」と思う僕。そんな急に尿は出ない。家でしてきちゃったもん。

出ないのならば作るまでよと、「ちょっと外に出てきます。」と、仕事の電話がかかってきたふりをする為に、携帯電話を耳にあてながら外へと僕は出て、自販機を探した。貸し駐車場にあった自販機で僕が選んだ飲み物は「からだ巡り茶」。実に爽やかな朝である。

ぐびぐびっと、広末涼子を感じながら、茶を飲み干し、再び待合室へと向かう。ドアを開けてふと思う。今はここが僕の居場所。待合室にいる人たちはみんな僕の仲間。ここには誰よりも頼れるお医者様がいる。僕の睾丸はうきうきと疼いていた。